墨は原則として、墨用の煤(スス)と膠(ニカワ)を練り合わせてつくられるものです。よい墨をつくるには、まず原料を選別する目が厳しくなければなりません。また、練り混み、型入れ、型出し、乾燥までの間熟練した技術が必要です。さらに、完成までにかかる約一年間、その間の気候と時間経過を味方につけるカンと根気も大切なものになります。昭和初期の開業以来、墨の原料として最も重要な墨用の煤をつくり続けてきた当工房は、「よい墨用の煤というものは何か」を知り尽くしております。そして長年の研究と経験から体得した墨づくりの技術にも、大きな自信を持っております。当工房の伝統をかたくなに守った墨づくりをご紹介しましょう。 |